EU統計局ユーロスタットが6月30日発表した同月のユーロ圏のインフレ率(速報値)は前年同月比1.3%となり、伸び率は前月の1.4%を0.1ポイント下回った。エネルギーの上昇率の鈍化が主因。2月には2%まで上昇し、欧州中央銀行(ECB)の目標である「2%をわずかに下回る水準」に届いたが、再び目標水準を大きく割り込んだ。
分野別の伸び率はエネルギーが1.9%、工業製品が0.4%、サービスが1.6%。エネルギーは原油価格上昇の効果が薄れ、前月の4.5%から大幅に鈍化した。
一方、価格変動が激しいエネルギー、食品・アルコール・たばこを除いた基礎インフレ率は1.1%となり、前月の0.9%から0.2ポイント拡大した。
ユーロ圏ではデフレ懸念が後退し、景気の緩やかな回復が続いているため、ECBが量的金融緩和を段階的に縮小する「テーパリング」に近く踏み切るとの見方が広がっていた。6月のインフレ率が鈍化したことで、ECBは難しい判断を迫られそうだ。