インドのタタ・モーターズ傘下の英ジャガー・ランドローバー(JLR)は21日、英国外で初のエンジン生産設備を中国に開設した。中国の奇瑞汽車との合弁会社である奇瑞ジャガー・ランドローバー(奇瑞JLR)の工場で新型ガソリンエンジンを生産し、車両生産ラインに供給する。
JLRは2012年に奇瑞汽車と折半出資の合弁会社を設立することで合意し、中国東部の江蘇省常熟市にJLRとしては初の海外生産拠点を建設。14年10月の稼働開始からこれまでに、中国市場向けに10万台を超えるランドローバー車を生産している。
JLRと奇瑞は常熟工場に総額109億元(約1,790億円)を投じる計画を打ち出しており、その一環として新たにエンジン生産設備を建設した。超低排出ガスの2.0リッター4気筒「インジニウム(INGENIUM)」ガソリンエンジンを生産し、「レンジローバー・イヴォーク」などを生産する同じ敷地内の車両製造工場に供給する。これまでは英工場からエンジンの供給を受けていたが、現地生産が実現したことで輸送コストを省き、生産効率を高めることができる。
JLRは国際競争力を強化するため海外生産拠点の拡充を進めている。中国、インド、ブラジルに続き、15年には10億ポンドを投じてスロバキアに新工場を建設する計画を発表。18年後半に稼働を開始し、年産15万台を目指す方針を示している。さらに同社は今月13日、ジャガーブランドの小型スポーツタイプ多目的車(SUV)の新型「Eペース」を中国とオーストリアで生産すると発表した。これまで海外での生産はすべて国内市場向けだったが、JLRは両工場で生産されたEペースを世界各地に輸出する計画だ。