欧州不正対策局(OLAF)は1日、欧州投資銀行(EIB)による独自動車大手フォルクスワーゲン(VW)への融資が、排ガス規制を回避するための違法ソフトウエアなどの開発に用いられた疑いがあるとの調査結果をまとめ、VWが本社を置く北部ニーダーザクセン州ブラウンシュバイクの検察当局とEIBに最終報告書を送付したと発表した。報告書の具体的な内容は公表されていないが、EIBはVWに対する4億ドルの融資が悪用された可能性があるとして、OLAFの報告書を細かく検証したうえで必要な措置を講じると説明している。
VWをめぐっては2015年9月、規制逃れのため世界全体で1,100万台におよぶディーゼル自動車に「ディフィート・デバイス(無効化装置)」と呼ばれる違法ソフトを搭載していたことが発覚した。同装置は検査時だけ窒素酸化物(NOx)などの排ガス低減機能を稼働させる仕組みになっており、実際には走行時の排出量が検査時の約40倍に上るとされる。EUの財政に関する不正を取り締まるOLAFは、EIBによるVWへの融資がディフィート・デバイスなどの開発費として悪用された可能性があるとして調査を進めていた。
EIBのホイヤー総裁は「VWに対する融資のうち、4億ユーロが排ガス不正問題で使用された技術の開発に用いられた可能性がある」と説明。1990年以降に実施した総額50億ユーロに上る融資はすでに全額返済されており、不正発覚後は新規融資を行っていないと強調したうえで、慎重にOLAFの最終報告を検証し、必要に応じて不正防止策の見直しを進める考えを示した。