オランダ産などの卵から殺虫剤成分、EU内外17カ国・地域に影響

オランダなどの養鶏場から欧州各地に出荷された卵から、EUが食用家畜への使用を禁止している殺虫剤成分のフィプロニルが検出され、消費者の間で不安が高まっている。影響はEU域外にも及んでおり、欧州委員会は11日、汚染された疑いのある卵や加工品がドイツやフランスなどEU15カ国と、スイス、香港の計17カ国・地域に出荷されたことを明らかにした。

フィプロニルは主にペットのノミやダニの駆除に使用される。人が大量に摂取すると腎臓や肝臓などに悪影響を及ぼす恐れがあるため、EUでは食品業界での使用が禁止されている。汚染の経路や時期など詳細は明らかになっていないが、オランダのチックフレンド社が販売する家禽類向け殺虫剤にフィプロニルが混入しており、これが同国とベルギーの養鶏場で使用され、同成分が混入した卵が各地に出荷されたとみられている。

卵の汚染問題は、ベルギー当局が先月20日に初めて欧州委に報告し、オランダとドイツがこれに続いた。ただ、ベルギー当局は6月の時点で卵からフィプロニルが検出された事実を把握しており、EU内では同国の対応が遅れたことに対して批判が高まっている。一方、ベルギー側は、オランダ当局が昨年11月の段階でフィプロニル入りの殺虫剤が国内の養鶏場で使用されていることを知りながら、有効な対策を講じなかったと非難している。

オランダでは180以上の養鶏場を閉鎖して調査を進めている。オランダとベルギーの捜査当局は養鶏関連企業への立ち入り調査を実施し、11日までに2人を拘束した。出荷された卵の総数などは不明だが、ドイツ政府は同国だけで1,000万個以上が流通した可能性があるとしており、大手スーパーはオランダ産の卵をすべて回収。他のEU諸国でも加工食品を含めた廃棄や回収が進められている。

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