独フランクフルトの金融関係者や地元自治体などで構成する「フランクフルト・マイン・ファイナンス(FMF)」は25日、英国のEU離脱に伴い、フランクフルトを中心とする地域で向こう4年間に最大10万人規模の雇用が創出されるとの予測を明らかにした。金融部門だけで1万人の新規雇用が発生し、これが幅広い分野に波及効果をもたらすとの見方を示している。
FMFはフランクフルトの金融センター化を推進するロビー団体。WHUオットー・バイスハイム経営大学がFMFの委託を受け、今回のレポートをまとめた。
それによると、英国のEU離脱に伴いロンドンに拠点を置く金融機関がフランクフルトに移転すると、不動産、インフラ、教育、交通、医療、消費財などさまざまなセクターで需要が拡大し、同市では金融以外で少なくとも2万1,300人の雇用が生まれる見通し。さらにフランクフルトの南方80キロ圏のライン・マイン地方全体では、向こう4年で最大8万8,000人の新規雇用が創出されると予測している。
英国のEU離脱を2019年3月に控え、ロンドンに欧州本社を置く金融機関は離脱後も確実に単一パスポート制度の適用を受けるため、ユーロ圏に中核拠点を移す必要に迫られている。これまでに米ゴールドマンサックス、モルガン・スタンレー、野村ホールディングス、大和証券グループなどが中核業務をフランクフルトに移す方針を固めており、誘致競争でアムステルダム、ダブリン、パリをリードしている。