仏石油大手トタルは21日、デンマークのAPモラー・マースクの石油部門であるマースク・オイルを買収すると発表した。買収額は74億5,000万ドル。これによってトタルは北海油田事業を大きく強化する。
買収は現金と株式交換を組み合わせた形で実施され、マースクはトタルの49億5,000万ドル相当の株式(発行済み株式の3.75%に相当)を受け取る。買収額にはマースク・オイルが抱える25億ドルの債務の引き受けも含まれる。2018年1~3月期の買収手続き完了を見込んでいる。
コングロマリット(複合企業)のマースクは昨年9月、コンテナ海運世界最大手のマースク・ラインを中核とする運輸・物流部門と石油関連部門の2つに分割する計画を発表。海運不況と原油安という二重苦に直面し、業績悪化が続くグループの立て直しが目的で、石油部門は分離または売却する方針だった。
トタルはマースク・オイルの買収によって、現在は日量250万バレルとなっている北海油田の採掘量が19年までに同300万バレルに拡大し、北海油田事業で2位の石油会社となる。また、両社の資産統合による効果で、年4億ドルのコスト節減が可能になると予想している。
マースクは今回の売却によって、最大の収益源である運輸・物流部門に集中する。昨年12月には独海運会社ハンブルク・スードを買収すると発表していた。