英下院は12日未明、同国のEU離脱に向けて、EU法を国内法に置き換える「廃止法案」をめぐる最初の採決を行い、賛成多数で承認した。この採決は法案を下院の委員会での審議に回すかどうかを決めるもので、法案可決に向けて一歩前進した。ただ、今後の審議で修正を求める動きが出るのは必至で、なお曲折が予想される。
英国はEU離脱に伴い、EUの前身である欧州共同体(EC)に加盟する際に制定された「1972年欧州共同体法」を廃止し、既存のEU関連の法令を国内法に置き換える必要がある。これに関する「廃止法案」をめぐっては、EUを離脱してから2年間は、閣僚が置き換えられた国内法を必要に応じて議会で十分に審議することなく修正できる権限を持つという規定が大きな焦点となっている。
今回の採決では、政府の権限が大きすぎるとして最大野党・労働党の大半の議員が反対に回ったが、与党・保守党、同党と閣外協力している北アイルランドの地域政党、民主統一党(DUP)が支持。労働党でも7人の議員が造反して賛成票を投じ、賛成326、反対290で承認された。
しかし、政府の権限に関する規定については、保守党内でも一部の議員が問題視しており、今後の審議で修正される可能性がある。