EUが金融監督体制を一元化、ESAの権限強化へ

欧州委員会は20日、EU域内で活動する金融関連企業に対する監督体制を一元化する計画を発表した。欧州最大の金融センターを擁する英国のEU離脱が1年半後に迫っていることや、スマートフォンやビッグデータなどの技術を活用した金融サービスが急速に広がるなど、金融市場を取り巻く環境が大きく変化するなか、統合された単一資本市場の実現に向けて金融監督を一元化する。

EUでは金融危機の再発防止に向けた取り組みの一環として、2011年に大手金融機関を監督する欧州監督機関(ESA)と、金融システム全体を監視する欧州システム・リスク理事会(ESRB)を設立した。欧州委は今回、銀行、保険、証券の3分野に分かれたESAの権限を拡大し、各国の監督当局に対する監視強化を提案している。ESAがEU全体で取り組むべき規制監督の優先課題を設定し、各国当局がそれに沿って活動しているかどうか厳しくチェックする。

この中で柱となるのは、証券分野を担う欧州証券市場監督機構(ESMA)の権限拡大。具体的にはEURIBORやEIONIAといった主要な指標金利の監視や、EU域外の銀行間取引金利をEU内で指標金利として利用する際の承認、EU域外の企業が発行する目論見書の承認、特定の投資ファンドの設立認可と監督、市場阻害行為に対する調査など、これまで加盟国の金融当局が行っていた業務をESMAに移管する。

欧州委はこのほか、3分野のESAが加盟国の監督機関から独立して迅速に意思決定できるよう、それぞれ常任メンバーで構成する理事会を設置することや、加盟国が拠出するEU予算とは別に、域内で活動する金融機関から分担金を徴収して活動費に充てることなどを提案している。

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