EUは9月25日、ギリシャに発動してきた過剰赤字是正手続きの解除を正式決定した。財政健全化が進んでいると認定したためで、ギリシャは債務危機の終息に向けて弾みがついた。
EUの財政規律では、各国に単年の財政赤字をGDP比3%以内に抑えることを義務付けている。違反した国は過剰赤字是正手続きを適用され、是正を怠れば国内総生産(GDP)の最大0.2%に相当する罰金の支払いを命じられる可能性がある。
ギリシャは深刻な財政危機に陥った2009年に是正手続きを発動された。しかし、EUなどからの金融支援を受けながら緊縮策、増税を柱とする財政改善に取り組んだ結果、09年にGDP比15.1%に達していた財政赤字が徐々に縮小し、16年には同0.7%の黒字に転じた。17年は同1.2%の赤字となる見込みだが、赤字幅は上限の3%を下回る。
こうした状況を受けて、欧州委員会は7月に過剰赤字是正手続きの解除を勧告。EU加盟国は25日の総務相理事会で解除を承認した。
ギリシャは6月、総額860億ユーロに上る第3次支援の継続の条件となる財政再建計画でEUと合意し、85億ユーロの追加融資が決定。デフォルト(債務不履行)の危機を脱した。さらに国際通貨基金(IMF)の3次支援参加が決まったほか、債務を軽減する方向で調整が進んでおり、債務危機から脱け出しつつある。7月25日には3年ぶりの国債入札を実施し、30億ユーロを調達した。
第3次支援は18年8月が期限となっている。その後はギリシャが国債発行によって自力で資金を調達しなければならない。赤字是正手続きの解除で信用力が一段と回復し、支援脱却の環境が整うと期待されている。
EUではギリシャに端を発した債務危機が深刻化した11年、赤字是正手続きを適用された国が24カ国に上った。ギリシャの解除によって、適用対象国はフランス、スペイン、英国の3カ国だけとなった。