18年にネット企業の課税強化策提案へ、ユンケル欧州委員長が明言

欧州委員会のユンケル委員長は9月29日、米グーグルやフェイスブックなど、国際的に事業展開する大手インターネット企業に対する課税強化策を2018年に提案する方針を明らかにした。EU域内で活動する有力ネット企業が加盟国ごとに異なる課税ルールを利用して、合法的に租税回避している現状に対処するため、売上高に基づく課税方式の導入などが検討される見通しだ。

ユンケル委員長はエストニアの首都タリンで開いた欧州のデジタル戦略をテーマとする非公式首脳会合後の会見で、「オフラインであろうとオンラインであろうと、企業は納めるべき場所で税金を払わなければならない。欧州委は来年、法的確実性と平等な競争条件をもたらす公平で有効な課税ルールを提案する」と述べた。

欧州委はデジタル経済における公平な課税を実現するため、先に大手ネット企業に対する課税制度の見直しに着手すると発表した。短期的な対策として、ネット企業の課税ベースを利益から売上高に移行する◇域内で得た広告収入を課税対象とする◇ネット企業への支払いに源泉徴収税を課す――という3つの案について検討を進める方針を明らかにしている。

一方、フランスのマクロン大統領は26日にパリのソルボンヌ大学で行ったユーロ圏改革に関する演説で、ハイテク企業は利益に見合った税金を納めていない「たかり屋」だと批判。首脳会合後の会見でもIT企業への課税強化が不可欠との考えを示し、ドイツやイタリアなど半数を超える加盟国がこうした意見に賛同していると述べた。

ただ、低税率を武器にアップルやグーグルなど米IT企業の欧州拠点を誘致したアイルランドなどは、ネット企業への課税強化は国際的なルールに基づいて行うべきとの立場で、EU単独での見直しには慎重な姿勢を示している。

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