欧州委員会は11日、ポルトガル政府が同国の大手銀行バンコ・エスピリト・サント(BES)の経営破綻を受けて新設したノボバンコを、米投資ファンドのローンスターに売却する計画を承認したと発表した。ローンスターはポルトガル政府との合意に基づいて総額10億ユーロの資本注入を表明しており、欧州委は新オーナーの下でノボバンコの長期的存続が可能になると判断した。
ノボバンコはポルトガル政府がBES救済のため、同行の優良資産を引き継いで2014年8月に発足させた。政府は破綻処理基金を通じてノボバンコに注入した49億ユーロの公的資金を回収するため、同行を民間に売却する方針を決定。15年に実施した入札には中国の安邦保険など3社が応札したが、応札額が想定した水準を大きく下回ったため売却を延期し、今年3月にローンスターへの売却を決めた。
ローンスターはノボバンコの株式75%を取得する条件として、取引完了時に7億5,000万ユーロを注入し、その後3年以内に2億5,000万ユーロを追加して同行の資本増強を図ることで合意。一方、ポルトガル政府は破綻処理基金がノボバンコの残り株式25%を維持するほか、将来的に同行の自己資本比率が監督当局の求める最低基準を下回った場合、最大38億9,000万ユーロの資本注入を行うことで合意した。
欧州委は公正な入札プロセスを通じてノボバンコの売却先が決定され、買い手のローンスターは同行の長期的な存続に向けて資本注入を柱とする野心的な再建計画を打ち出していることから、ポルトガル政府による一連の支援策がEUの国家補助規定に抵触する恐れはないと結論づけた。