欧州議会、対トルコ支援の削減提案

欧州議会は25日、EU加盟候補国のトルコに対する支援金の大幅な削減を提案した。昨年7月のクーデター未遂事件をきっかけに、エルドアン政権が強権化を加速させていることなどを理由に、2018年に拠出する予定の支援金を最大8,000万ユーロ減額するよう求めている。先のEU首脳会議では加盟国もトルコに対する支援金の削減で合意しており、正式な手続きを経て減額が実行される公算が大きい。

EUは加盟候補国や潜在的加盟国が政治・経済面でEUの基準に合わせていくために必要な制度改革やインフラ整備などを資金面で支援しており、トルコに対しては14~20年に総額44億ユーロの拠出を約束している。しかし、EUはクーデター未遂後の大規模な取り締まりで多くのジャーナリスト、司法関係者、人権活動家などが逮捕されたほか、政権に批判的なメディアが相次いで閉鎖に追い込まれたことなどを問題視し、EU加盟交渉は完全に停止している。

トルコに対する支援金の削減案は、18年の拠出金から政治改革のための支援金をまず5,000万ユーロ削減し、人権問題が改善しない場合はさらに3,000万ユーロを減額するという内容。インフラ整備や農業分野の支援金は計画通りに拠出する。

削減案をまとめたムレシャン議員は「トルコは言論・表現の自由や人権を尊重せず、欧州における民主主義の基準を逸脱している。欧州議会としてこうした状況を見過ごすことはできない」と述べた。

トルコのEU加盟交渉は2005年10月にスタートしたが、EU側はトルコ国内の少数民族クルド人に対する人権抑圧などを問題視し、交渉は長く足踏み状態が続いていた。EUは昨年3月、ギリシャに密航した不法移民らをトルコに強制送還する見返りとして、EU加盟交渉を加速させることを約束。新たに経済通貨政策などの分野で協議入りした。クーデター未遂事件を受けて加盟交渉は凍結状態にあるが、EUは難民政策でトルコに大きく依存しているため、EU側から交渉を打ち切ることは難しい状況だ。

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