海外派遣労働者に対する新規制で合意、派遣期間の上限を18カ月に

EUは23日開いた雇用・社会問題担当相理事会で、EU域内の他の国に一時的に労働者を派遣する派遣雇用に関する規制案の内容で合意した。閣僚理と欧州議会の最終調整を経て新ルールが導入される。

海外派遣労働者はEU域内に拠点を置く企業に雇用され、他の加盟国に一時的に派遣される労働者を指し、受入れ国で請負業務に従事したり、域内の複数の国で事業展開する企業内での国境を越えた異動、さらに派遣業者が他の加盟国に人材を派遣する場合などが該当する。

新規制は、域内の他の国からの派遣雇用がコスト面で優位になる状況を改善することに主眼が置かれている。欧州委員会は昨年、派遣労働者に対して本国の社会保障制度を適用する期間を24カ月に制限する規制案を提示した。これに対し、労働市場改革を最優先事項と位置づけるフランスのマクロン大統領は、上限を12カ月とするよう要求。一方、大量の派遣労働者を送り出しているポーランドやハンガリーなどの東欧諸国は、派遣元となる自国企業の競争力低下を懸念して、上限を設定すること自体に強く反発していた。

閣僚理では議長国エストニアが派遣期間の上限を18カ月とし、その後は派遣先の規制を適用する妥協案を提示。採決ではポーランド、ハンガリー、ラトビア、リトアニアが反対票を投じ、英国、アイルランド、クロアチアは棄権したが、残る21カ国は妥協案を支持した。ただし、道路輸送部門については規制強化に反対する東欧諸国とスペイン、ポルトガルなどの主張を受け入れ、当面は適用除外とすることで合意した。

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