欧州委員会は9日発表した秋季の経済予測で、ユーロ圏の2017年の域内総生産(GDP)実質伸び率を2.2%とし、前回(5月)の1.7%から0.5ポイント上方修正した。緩やかな景気回復が今年に入ってからも続いていることを受けたもので、この成長率は2007年以来10年ぶりの高水準となる。(表参照)
18年の予想成長率は2.1%。前回から0.3ポイント引き上げた。初めて示した19年の予想成長率は1.9%となった。
ユーロ圏では17年7~9月期まで18四半期連続でプラス成長を記録。同期の伸び率は前期比0.6%増だった。欧州委はギリシャに端を発した債務危機が終息に向かっていることや、雇用の改善、個人消費の堅調、設備投資の回復、世界経済の復調などをにらみ、17年の予想成長率を大幅に上方修正した。
今後の不安材料としては、朝鮮半島情勢、中国経済の調整、保護主義的政策の拡大といった外的リスクやユーロ高、英国のEU離脱問題などを挙げた。
EU28カ国の予想成長率は17年が2.3%、18年が2.1%、19年が1.9%。前回と比べて17年は0.4ポイント、18年は0.2ポイント上方修正した。
主要国の17年の予想成長率はドイツが2.2%、フランスが1.6%、イタリアが1.5%、スペインが3.1%。ドイツとイタリアは0.6ポイント、スペインは0.3ポイント、フランスは0.2ポイントの上方修正となった。
一方、英国は1.5%で、0.3ポイント引き下げられた。物価の上昇が個人消費を圧迫していることを考慮した。EUを離脱する予定の19年については、EUとの通商関係が現在と変わらないことを想定しても、投資の停滞を招くとして、1.1%という低水準に設定した。
ユーロ圏の17年の予想失業率は9.1%。前回の9.4%から0.3ポイント引き下げた。インフレ率に関しては1.5%と、0.1ポイント下方修正した。景気回復が進んでいるにもかかわらず、賃金の伸びが依然として鈍いことを理由に挙げている。
