ギリシャのチプラス首相は13日、財政再建が進んでいることを受けて、年末に14億ユーロ規模の貧困層支援策を実施すると発表した。基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字分を活用する。
首相がテレビでの演説で打ち出した同措置は、債務危機に陥ったギリシャがEU、国際通貨基金(IMF)から金融支援を受けた際に約束した厳しい財政緊縮策の実施で影響を受けた貧困層の支援が目的。年収が1万8,000ユーロを下回る年金生活者などに総額7億2,000万ユーロを一時金として給付する。約340万人が対象となる。
このほか年金生活者などに対して、緊縮策の一環として実施された医療保険料引き上げで生じた負担を軽減するため、3億1,500万ユーロを給付。国営電力会社が貧困世帯への電気料金を引き下げるため、同社に3億6,000万ユーロの助成を行う。
ギリシャは2010年から金融支援を受けながら、財政再建に取り組んできた。その結果、危機は終息に向かっている。政府は2017年のプライマリーバランスの黒字が国内総生産(GDP)比3.57%と、目標としている1.75%を大きく上回る見通しであることから、余剰資金を貧困層支援に充てることを決めた。
ギリシャは2016年、生活が苦しい年金受給者に6億1,700万ユーロを年末に給付したが、EUが財政再建に悪影響を及ぼすとして反発した経緯がある。政府は今年、財政改善を前倒しで実現した場合は、余剰資金を貧困対策などに投じることができるようにすることでEUと合意したため、今回の支援措置はEUが承認済みという。