バイエル、がん治療薬で米社と提携

独製薬大手の独バイエルは14日、がん治療薬の開発・販売で米バイオ企業ロクソ・オンコロジーと提携することで合意したと発表した。特定部位のがんではなく、特定の遺伝子異常を対象とした新しいタイプのがん治療薬の上市を目指す。

ロクソが開発中のがん治療薬「ラロトレクチニブ」と「ロクソ-195」を共同開発に切り替える。バイエルは契約一時金4億ドルを支払うほか、一定の認可・販売目標の達成に応じてマイルストーンを追加。ロクソに対し最大11億5,000万ドルを支払う。

ラロトレクチニブについては年内にも米国で認可を申請し、来年には欧州でも認可申請を行う。順調にいけば米国では来年中に市場投入できる。

ラロトレクチニブとロクソ-195の開発費用は両社が折半。米国では共同で販売する。同国以外の販売はバイエルが担当する。

がん治療薬ではこれまで、胃がん、大腸がんなど発症部位別に製品開発が行われてきた。これに対してラロトレクチニブとロクソ-195は、神経栄養因子(ニューロトロフィン)受容体のひとつである「トロポミオシン受容体キナーゼ(TRK)」の突然変異に照準を絞った医薬品であるため、TRKの突然変異が起きた患者であれば、がんの発生部位を問わずすべてのがんで効果が期待できる。

がんは従来、発生する部位に基づいて分類され、治療が行われてきた。だが近年は、がんを発生部位によって区別するのでなく、細胞の異常成長を引き起こす遺伝子疾患とみなす傾向が強まっており、遺伝子異常に的を絞った治療・医薬品の重要性が高まっている。米食品医薬品局(FDA)は5月、特定の遺伝子変異を対象とするがん治療薬を初めて承認した。バイエルとロクソはそうした医薬品としての認可を申請する計画だ。

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