欧州議会、EU加盟国、欧州委員会の3者は20日、オンライン小売業者が「ジオブロッキング(地理的制限)」を設け、消費者の居住地によってサービスを制限したり、同じ商品を不当に高い値段で販売することを禁止する規則案の内容で合意した。EU市民は域内のどこにいても同じ条件で製品を購入し、サービスを利用できるようになる。欧州議会と閣僚理事会の正式な承認を経て新ルールが導入される。
新規則は域内におけるデジタル単一市場の実現を目指す取り組みの一環として、欧州委が2015年に提案していた。一部でみられる国境をまたいだオンライン取引を制限する商慣行を排除するのが狙いで、米アマゾン・ドット・コムをはじめとするネット通販や米イーベイなどのインターネットオークションのほか、レンタカー、宿泊、各種チケットのオンライン予約など幅広いサービスが規制の対象となる。
規則案によると、EU内で活動する事業者が地理的制限を設けて国外の消費者がサービスを利用できないようにしたり、居住する国のサイトに誘導して同じ商品を高い値段で販売するなどの「差別的扱い」が禁止される。購入者の居住地や国籍によって支払い方法や条件面で不当に差別することも禁止される。
一方、音楽ストリーミングや動画配信サービス、電子書籍ストアなど、著作権保護されたコンテンツのオンライン販売には新規則が適用されない。欧州議会はこれらのサービスも規制の対象とするよう求めていたが、音楽業界の強い反発で見送られた。