欧州委員会は22日、ユーロ参加国の2018年度予算案の審査結果を公表し、フランス、イタリア、ベルギー、オーストリア、ポルトガル、スロベニアの6カ国がEUの財政規律に違反する恐れがあると警告した。
EUの財政規律を定めた安定成長協定では、各国は単年の財政赤字を国内総生産(GDP)比3%以内、累積債務をGDP比60%以内に抑えることを義務付けられている。
EUはギリシャに端を発した債務危機の再発を防止するため、ユーロ参加国の財政監視強化策として、各国の予算案を欧州委が事前に審査する制度を2013年に開始。各国は次年度予算案を議会の承認に先立って毎年10月15日までに欧州委に提出し、審査を受けることが求められる。欧州委は予算案が財政規律に反すると判断した場合、修正を求めることができる。今回の審査は、債務危機でEUから金融支援を受け、財政規律とは別の枠組みで財政再建を求められているギリシャ除く18カ国が対象となった。
フランスなど6カ国の18年度予算案は、財政赤字がGDP比3%を超える恐れがあると判断された。このうち、既に過剰赤字是正手続きを発動されているフランスは、17年の赤字が上限以下に収まり、同手続きが解除される可能性があった。仏政府は解除を取り付けるためには予算案を見直し、赤字を許容範囲内に抑える必要がある。
イタリアは累積債務がGDP比130%と、上限を大きく超える見込みであることから特に問題視されており、欧州委は2018年春に債務削減の進展状況を再審査することを決めた。
一方、欧州委は同日、非ユーロ圏の英国の財政健全化が進んだため、過剰赤字是正手続きを解除すると発表した。EUではギリシャが9月、同手続きを解除されたばかり。これによって対象国はフランス、スペインの2カ国だけとなった。