欧州委員会は11月30日、ビール世界最大手のアンハイザー・ブッシュ・インベブ(ABインベブ、本社ベルギー)がEU競争法に違反している疑いがあるとして、同社に異議告知書を送付したと発表した。EU域内の内外価格差を利用した「並行輸入」を制限する商慣行が、競争法で禁止された市場支配的地位の乱用にあたる可能性があるとしている。
問題となっているのは、インベブの本国ベルギーで人気の銘柄「ジュピラー」と「レフ」の販売。これらはビール市場の競争が激しいフランスとオランダで、ベルギーより安く販売されている。欧州委によると、同社が国内ビール市場での支配的地位を悪用し、ベルギーのスーパー、卸売業者が両銘柄をフランスとオランダから輸入し、安値で販売することを制限している疑いがあるとして、昨年6月に調査を開始していた。
欧州委は調査の結果、インベブが少なくとも2009年から輸入を不当に制限していると断定。制裁手続きの第1段階として異議告知書を送付した。