ユーロ圏の機構改革、仏・独が3月までに共通見解提示

フランスのマクロン大統領とドイツのメルケル首相は15日、EU首脳会議後の共同記者会見で、両国が2018年3月までにユーロ圏の機構改革に関する共通の見解を提示すると発表した。これに基づき、EU全体での協議を進め、6月までに改革案をまとめたい考えだ。

EUではユーロ圏の統合深化に向けた機構改革が課題となっているが、加盟国の間で大きな意見の隔たりがあり、協議が進んでいない。こうした中、フランスで大胆な機構改革を公約に掲げて当選したマクロン氏が大統領となり、実現を目指す動きが活発化。欧州委員会は6日、EU版の国際通貨基金(IMF)となる「欧州通貨基金(EMF)」の創設を柱とする機構改革案を公表していた。6月の決定を目指している。

マクロン大統領はフランスと並ぶユーロ圏の大国であるドイツのメルケル首相と連携し、機構改革を推進したい考え。両首脳は記者会見で、3月までに意見をすり合わせ、共同の提案を行う意向を表明した。

欧州委は機構改革案で、EMFを創設し、ユーロ圏の金融安全網である欧州安定メカニズム(ESM)の機能を引き継いで金融危機に陥った国に支援を行うことを提案した。このほか、「欧州経済財務相」の創設なども提唱している。マクロン大統領が提唱するユーロ圏共通予算創設は盛り込まなかった。

今回のEU首脳会議で機構改革をめぐる協議が開始される予定だったが、英国のEU離脱問題に時間をとられ、突っ込んだ協議は行われなかった。EUのトゥスク大統領(欧州理事会常任議長)によると、会議ではEMF創設、EU銀行同盟創設構想の最終段階となる共通の預金保険保証制度(EDIS)導入に関する協議に向こう6カ月間は集中することを確認したという。

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