電機大手の独シーメンスがハンガリー子会社を通じ、同国の鉄道通信システム導入事業を受注した。ハンガリー政府の公告によると、同社が受注したのはブダペスト近郊のサーゼハロムバッタと中部のプスタサボルチを結ぶ26.3キロに及ぶ区間で、現地子会社のシーメンス・テルメロが信号・通信システムのほか、運行管理システム「ETCS-2」を整備する。
総事業費は186億フォリント(約6,000万ユーロ)。同事業の入札にはオーストリアの鉄道運行システム設置事業者タレスのコンソーシアムも参加していた。
同事業は首都ブダペスト・ケレンフョルドとプスタサボルチを結ぶ路線の近代化事業の一環。欧州連合(EU)の欧州交通インフラ整備事業である「Connecting Europe Facility」から助成を受ける見込みだ。同事業の第1期プロジェクトにあたる同区間へのETCS-2の設置もシーメンスが受注している。
同区間の事業のうち、エルチとプスタサボルチ間(12.2キロメートル)の線路の改修事業については、ハンガリーの富豪ロリンツ・メーサーロシュ氏が所有するメーサーロシュ・エース・メーサーロシュが線路工事会社のヴァシューテーピートクと共同で、385億フォリント(1億2,400万ユーロ)で受注した。同区間では線路を改修して時速160キロメートルに対応させるほか、地下道、エレベーター、駐車施設を含むプラットフォーム関連事業が含まれる。
その他の区間でもメーサーロシュ氏の企業が参加するコンソーシアムが事業を受注している。サーゼハルムバッタと支線のエルチ間(15.7キロメートル)の線路等の改修事業については490億フォリント(1億5,800万ユーロ)で受注したほか、東部のデブレツェン‐エベシュ間(76キロメートル)の線路改修事業ついても同氏の建設会社R-KordがV-Hidエーピートと組んで、138億フォリント(4,500万ユーロ)で受注している。同事業では時速160キロメートル、軸荷重225キロニュートンに耐えられるよう軌道を強化するほか、架線を改修し光ケーブルを設置する。
これらの事業については、いずれもすでに正式契約が成立している。