EU首脳が英に離脱撤回の呼びかけ、国民投票の再実施論が背景に

欧州委員会のユンケル委員長は17日、仏ストラスブールの欧州議会で演説し、EUとして英国の離脱は望んでおらず、英国が望めば残留が認められるとの考えを示した。さらに英国がEUを離脱しても、再加盟を申請すれば「戻ることができる」と述べ、離脱はEUと英国の双方にとって大きな損失につながると強調した。トゥスクEU大統領も前日、英国が残留に方針転換すれば受け入れる方針を示していた。英国では国民投票の再実施を求める声が出ており、EU首脳の発言はこうした動きを踏まえたものとみられる。

ユンケル氏は「英国の離脱は大惨事であり、英とEUの双方とも敗者だ」と強調。「英国民、議会、政府が離脱以外の道を望めば議論する用意がある。EU側は英国を追い出さないし、在留してもらいたい。英国が望めば在留が可能なはずだ」と述べた。

一方、トゥスク氏は「英政府が決定に執着すれば、来年3月には離脱に伴うあらゆるネガティブな影響が現実のものとなる。民主主義が心を変えられないなら、それは民主主義ではない。大陸欧州にいるわれわれの心は変わっておらず、常に開かれている」と発言。ユンケル氏も「こうした声がロンドンに届くことを願っている」とつけ加えた。

英国では反EUを掲げる英国独立党(UKIP)のファラージ元党首が11日、EU離脱の是非を問う国民投票の再実施を求めた。同氏は出演したテレビ番組で「2度目の投票を行えば、前回より多くの国民が離脱を支持するだろう」と述べ、再投票で離脱問題に決着をつけるべきだとの考えを示した。残留派からはファラージ氏の提案を支持する声が上がっているが、メイ首相は再実施を強く否定している。

法律家の間では国民投票による決定を破棄できるか否かについて意見が分かれているが、EU内では離脱回避を求める声が根強い。フランスのマクロン大統領はその中心人物で、英国が残留や再加入を望めば積極的に後押しするとくり返し表明している。

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