欧州委、ルーマニアの司法制度改革に懸念表明

欧州委員会は24日、ルーマニアの汚職対策と司法の独立について深い懸念を表明し、同国議会に司法制度改革に関連した法案の見直しを求める書簡を送付したことを明らかにした。ルーマニアでは社会民主党(PSD)と自由民主主義同盟(ALDE)の連立政権が昨年12月、検察の権限縮小を目的とする法案を承認したことを受け、首都ブカレストで20日、およそ5万人が抗議デモを行うなど、国民の反発が強まっている。

欧州委は声明で「司法の独立と汚職との戦いは、ルーマニアがEU内で堅固な立場を維持する上で最も重要な基礎となる。欧州委はルーマニアにおける司法改革と汚職対策が後退していることについて再度警告を発し、司法の独立を脅かし、汚職防止の取り組みを損なう恐れのある刑法改正案や汚職防止法の内容を精査する」と表明した。

ルーマニアでは2016年12月の総選挙でPSDが圧勝し、17年1月にALDEとの連立政権が発足した。政府は2月、禁錮刑の対象となる汚職の金額に上限を設け、一部の汚職犯罪を免罪とする条項を盛り込んだ法案を議会に提出したが、これはPSDのドラグネア党首が汚職の罪に問われていたことが背景にあり、国民の強い反発を招いて撤回した経緯がある。しかし、同国では総選挙後の1年間に2人の首相が辞任に追い込まれるなど、政治的混乱が続いている。

欧州委はこうした中で昨年11月、ルーマニアの司法改革と汚職対策の進捗に関する協力・検証メカニズム(CVM)の報告書をまとめ、同国では不安定な政情情勢を受けて司法、行政、立法の緊張が高まり、三権の間で協力が困難になっていると指摘。また、刑法改正案と恩赦に関する政令は汚職対策の進捗を妨げ、司法改革法案は司法の独立を脅かす可能性があると警告していた。

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