EBAが銀行ストレステストの概要発表、英離脱で厳しいシナリオ設定

欧州銀行監督機構(EBA)は1月31日、2018年に実施するEU域内の大手銀行に対するストレステスト(健全性審査)の概要を発表した。英国のEU離脱によるマクロ経済上のリスクを想定して、これまでで最も厳しいシナリオを設定し、景気の悪化や金融市場の混乱に対応できる十分な資本を保有しているかどうかを見極める。

審査の対象は48行で、このうちユーロ圏に本拠地を置く銀行は33行。2年前に実施した前回の審査と同様、個別の「合否判定」は示さず、代わりに欧州中央銀行(ECB)が各行の資本目標を設定し、資本不足に陥る恐れがある銀行に資本増強を求める。審査結果は11月2日までに公表される。

ストレステストの方法としては、EUの経済成長率が標準的予測の「基本シナリオ(ベースライン)」と、銀行システムの安定性を脅かす一連のシステミックリスクを反映した「悪化シナリオ」における銀行の健全性を評価する。具体的には世界的な債券利回りの上昇、景気低迷で銀行の収益性が乏しい状況、公的・民間債務をめぐる懸念の高まり、ノンバンクセクターの流動性リスクが金融システム全体に波及する可能性といったリスクに、銀行がどのように対応できるかを審査する。

20年までの悪化シナリオには◇EUの実質域内総生産(GDP)がベースラインより8.3%低くなる◇EUの失業率がベースラインより3.3ポイント高くなる◇ユーロ圏の消費者物価指数(HICP)がベースラインより1.9%低くなる◇住宅価格がベースラインより27.7%低くなる――などが含まれている。

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