医療技術評価で加盟国の協力強化、薬品・機器の迅速な投入可能に

欧州委員会は1月31日、安全で革新的な医薬品や医療機器の迅速な投入を可能にするため、国ごとに行う従来の医療技術評価に代わり、EU加盟国が合同で臨床評価を行う仕組みの導入を提案した。EU全体で医療資源の効率的利用を促進し、患者に質の高い医療を提供すると共に、欧州医療産業の競争力強化を図るのが狙い。欧州議会と閣僚理事会で欧州委の提案について検討する。

医療技術評価は医療技術の向上や普及、実用化に関する医学的・社会的・倫理的・経済的な問題について研究するプロセスで、保健医療技術の導入の決定や診療ガイドラインの作成などに利用されている。現行システムでは各国当局がそれぞれ医療技術評価を行うため、たとえば欧州医薬品庁(EMA)が新薬の安全性や有効性を確認した場合でも、製薬会社は国ごとに販売認可の手続きを進めなければならず、イノベーションを阻害する大きな要因になっている。

新システムでは医療技術評価を担う各国当局が協力し、最も革新的な医療技術を対象に合同で臨床評価を行うほか、重点的に研究を進めるべき領域を特定する。また、製薬会社や医療機器メーカーが当局者に科学的な助言を求めることができる仕組みも構築する。

一方、医療技術評価のうち社会的・倫理的・経済的側面の評価や、薬価の算定や医療機器の価格設定などは引き続き各国当局が行う。

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