英携帯電話サービス大手ボーダフォンは2日、米メディア大手リバティ・グローバルから欧州事業の一部を取得する方向で交渉していることを明らかにした。大陸欧州で両社の事業が重複している分野が対象で、ドイツのケーブルテレビ(CATV)事業などが中心とみられる。
ボーダフォンは英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)が同日付でリバティとの交渉を報じたことを受け、交渉入りを認める声明を発表した。FT紙はリバティが英国やドイツで保有する一部資産が対象と報じていたが、ボーダフォンは「初期段階」の交渉で、合意に至る保証はないと強調し、協議の具体的な内容は明らかにしていない。
ボーダフォンとリバティは2015年に事業資産の交換について協議したものの、条件が折り合わず合意に至らなかった経緯がある。しかし、16年2月には両社のオランダ事業を統合することで合意。折半出資による合弁会社を設立し、リバティが子会社を通じて提供しているCATV、ブロードバンド、固定電話サービスと、ボーダフォンの携帯電話サービスを統合した。市場ではこれまで経営統合の可能性なども取り沙汰されてきたが、ボーダフォンは声明で、統合に向けた協議は行っていないと説明している。
大陸欧州で両社の事業が重複している市場としては、ドイツ以外にチェコ、ハンガリー、ルーマニアなどがある。しかし、ボーダフォンのビットリオ・コラオ最高経営責任者(CEO)は過去に、リバティとの提携によってドイツテレコムに対抗することが可能になると発言していた。独連邦ネットワーク庁によると、17年の携帯電話市場におけるシェア(売上高ベース)はドイツテレコムが30.3%、ボーダフォンが26.1%。一方、ブロードバンド市場における加入世帯のシェアはドイツテレコムが40.1%、ボーダフォンが19.7%、リバティが10.5%となっている。