次期欧州委員長も現行方式で選出へ、ユンケル氏が加盟国の協議要請を牽制

欧州委員会のユンケル委員長は14日、自身の後任となる次期欧州委員長の選出方法について、欧州議会の最大会派が推す候補者が委員長に就任する「Spitzenkandidat(ドイツ語で首位の候補者)」と呼ばれる仕組みを維持すべきだとの考えを明らかにした。マクロン仏大統領などは加盟国の話し合いで委員長を決めるかつての手法に戻すべきだと主張しているが、ユンケル氏は欧州議会選挙の結果を反映させる選出方法がより透明で民主的だと強調している。今月23日に開く非公式のEU首脳会議でユンケル氏の提案について協議する。

現在の欧州委は2019年10月末に任期満了を迎え、ユンケル氏は退任の意向を示している。Spitzenkandidat方式は、欧州議会を構成する各会派が党内予備選で候補者を選出し、欧州議会選挙で第一党となった会派の候補者が欧州委員長に就任する仕組み。14年の欧州議会選挙で初めて導入された。

ユンケル氏は定例の記者会見で「欧州委のメンバーは現在の選出システムが最も道理に適っているとの認識で一致した」と強調。各会派に19年5月の欧州議会選挙に向け、18年末までに委員長候補を決めるよう要請した。

ユンケル氏は一方、EU大統領と欧州委員長のポストを統合する案も打ち出した。自身の後任人事での実現は困難としたうえで、英国のEU離脱で揺らぐ欧州統合を再構築するには、加盟国首脳の代表である大統領職と、行政機関の最高責任者である欧州委員長の職務を一本化する必要があると訴えた。

ユンケル氏はまた、EU加盟国がそれぞれ1人ずつ欧州委員を選出している現行システムについて、委員の数を削減すべきか否かを欧州議会選挙までに決める必要があると指摘した。さらに、マクロン大統領がEU改革案の一環として提唱する、加盟国ごとに欧州議員を選出する現行制度に代わり、EU全体をひとつの選挙区とする構想に関しても言及。今月7日の欧州議会本会議では「単一EU選挙区」の創設を見送る案が可決されたが、EU内で引き続き議論を深める必要があるとの認識を示した。

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