ロシュがガン患者データ解析の米社買収、新薬開発を推進

スイス製薬大手のロシュは15日、がん患者と医師のためのデータ解析プラットフォームを手がける米フラットアイアン・ヘルスを19億ドルで買収すると発表した。フラットアイアンが持つ腫瘍に特化した電子医療記録(EMR)などの技術を利用して、がん治療薬の開発を加速させる。

フラットアイアンはグーグルの元従業員2人が2012年に創業したスタートアップ企業。がん患者の健康状態に関するデータや臨床情報を管理・分析するEMRやその他のデータソースをもとに、医師が最適な治療法を選択したり、臨床試験の参加者を選定する手助けをしている。

ロシュはフラットアイアンが16年に実施した1億7,500万ドルの資金調達ラウンドを通じ、同社の株式12.6%を取得した。フラットアイアンにはグーグルの投資部門であるグーグル・ベンチャーズ(現在はGVに名称を変更)なども出資しており、ロシュはこれらの株主から全株式を買い取る。

ロシュは18年前半の手続き完了を見込んでいる。フラットアイアンは買収後も独立したブランドとして事業を継続する。ロシュの医薬品事業部門の責任者ダニエル・オデイ氏は声明で「新たながん治療の開発には有効性を裏付ける信頼できるエビデンスが不可欠だ。フラットアイアンの技術を活用して個々の患者に合わせた治療法の開発を推進する」とコメントした。

製薬業界では仏サノフィが1月に血友病治療薬を手がける米バイオベラティブを約116億ドルで買収すると発表するなど、大規模なM&A(合併・買収)が相次いでいる。ロシュはがん治療分野を強化しており、昨年12月には試験中の抗がん剤を持つ米イグナイタを17億ドルで買収することで合意している。

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