ユニリーバ、ソーシャルメディアでの広告中止を検討

英・オランダの食品・日用品大手ユニリーバは12日、ソーシャルメディアを中心としたデジタルプラットフォームへの広告掲載の中止を検討していることを明らかにした。偽ニュースや違法コンテンツが横行するソーシャルメディアなどに広告を掲載すれば、消費者の信頼が低下し、ブランドイメージを損なう恐れがあるためと説明している。世界有数の広告主であるユニリーバがソーシャルメディアへの広告掲載を取り止めた場合、消費財メーカーを中心に追随の動きが出る可能性もあり、米フェイスブックやグーグルが支配するデジタル広告市場に深刻な影響が及ぶ恐れがある。

広告戦略の見直しは、ユニリーバのキース・ウィード最高マーケティング責任者(CMO)が、デジタル広告推進団体IABが主催する年次イベントで明らかにした。ウィード氏はソーシャルメディア上などで横行する偽ニュースや差別的な表現、テロリストらが投稿する憎しみのメッセージ、子供に害を及ぼす悪質なコンテンツなどが「社会の分断を招き、人々の怒りや憎悪を助長している」と指摘。「消費者から信頼されるブランドとして、ユニリーバは社会に害悪を及ぼす恐れのあるプラットフォームに広告を掲載すべきではないと考えている」と述べ、不適切なコンテンツへの対応が不十分な場合、フェイスブックなどへの広告出稿を打ち切る可能性を示唆した。

ユニリーバは2017年に広告などのマーケティング費用として77億ユーロを投じ、このうちデジタル広告が約3分の1を占めている。同社ではコスト削減策の一環として、近年はテレビCMなど従来型メディアへの広告出稿を減らす一方、デジタル広告の支出額は過去5年間で2倍以上に拡大した。

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