欧州航空安全機関(EASA)は23日、ドローン(無人飛行機)の安全な利用のためのEU共通ルールの枠組みを発表した。人や旅客機との衝突事故などを防ぐため、小型ドローンに位置認識システムやハッキング防止機能の搭載を義務付けることなどを柱とする内容。欧州委員会は加盟国の当局者や専門家とともにEASAの提案について協議し、年内に規制案をまとめる。
EU内では現在、加盟国がそれぞれ独自にドローンの運用ルールを定めている。ドローンの普及が本格化の兆しをみせるなか、EUは欧州ドローン産業の成長を促すうえで、安全性やプライバシーの侵害など、さまざまな問題に対応するための域内共通ルールが不可欠との認識に立ち、EASAが規制の枠組みについて検討を進めていた。
EASAは昨年5月、250グラム以上のドローンの運用者に規制当局への登録を義務付けるほか、加盟国にドローンの飛行禁止または制限区域を設けたり、EUの定める技術要件を満たした機体に「CEマーク」を付与する際、特定の要件を緩和するなどの裁量を認めることなどを盛り込んだ規制の方向性に関する文書を公表した。その後の意見募集で寄せられた各方面からの反応や、昨年10月にカナダで起きた小型ドローンと旅客機の衝突事故などを踏まえ、規制の枠組みを更新した。
EASAの提案によると、人の頭上を飛行させることができるのは900グラム未満のドローンに制限される。また、小型ドローンが飛行禁止区域に迷い込んだ場合などに操縦士が速やかに事態を把握し、遠隔操作で制御できるよう、位置認識システムの搭載を義務付ける。さらにハッキングによってドローンが制御を奪われ、重大な事故を引き起こす事態などを防ぐため、900グラムを超えるドローンにハッキング防止機能の搭載が義務付けられる。