独でディーゼル車走行禁止が現実に、最高裁が合法判断

ドイツのシュツットガルト市とデュッセルドルフ市で人体に有害な窒素酸化物(NOx)の濃度がEU基準を上回っているのは問題だとして、環境保護団体ドイチェ・ウンベルトヒルフェ(DUH)がディーゼル車の市内走行禁止を早期に実施するよう求め両市の地元バーデン・ヴュルテンベルク(BW)州とノルトライン・ヴェストファーレン(NRW)州をそれぞれ訴えていた係争で、最高裁の連邦行政裁判所(BVerwG)は2月27日、ディーゼル車の走行禁止は合法との判断を示した。NOx基準の順守という目的を達成するための手段が過度なしわ寄せをもたらさない限り排ガス性能の低い車両の走行を禁止できるとしており、ディーゼル車の市内乗り入れ禁止がドイツで初めて実施される見通しとなった。

EU加盟国はNOxの濃度を1立方メートル当たり40マイクログラム(年平均)以下に抑制することを2010年以降、義務づけられている。ドイツではベルリン、ミュンヘンなど数十の都市・地域で同規制を順守できない状況が続いており、欧州委員会はドイツを欧州司法裁判所(ECJ)に提訴する方向で準備を進めている。

DUHは同ルールの順守に向けた大気浄化計画の作成義務を負う国内の多くの州を相次いで提訴。シュツットガルトを巡る係争では昨年7月、欧州排ガス基準「ユーロ5」以下のディーゼル車と「ユーロ2」以下のガソリン車を対象に同市での走行禁止を地元の行政裁判所が言い渡した。デュッセルドルフの係争でもNRW州が作成した大気浄化計画は不十分だとする判決を地元行政裁が下した。

BW州とNRW州はこれらの判決を不服として連邦行政裁にそれぞれ上告した。

連邦行政裁は今回の判決で、ディーゼル車の走行禁止がNOx基準順守の唯一の手段であるならば、走行禁止はやむを得ないとの判断を明示した。ただ、禁止措置の実施に際しては、目的を達成するためにはそれに見合った妥当な手段を用いなければならないという「相当性の原則」を守らなければならないとも明言。過度なしわ寄せが出るのを避けるために、手工業者や特定の住民グループに対しては禁止措置の適用を見合わせる必要があると指摘した。

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