ECBが金融政策正常化に前向き、量的緩和「拡大」を声明から削除

欧州中央銀行(ECB)は8日に開いた定例政策理事会で、現行金融政策の維持を決めた。一方、理事会後に発表した声明では、ユーロ圏の国債などを買い入れる量的金融緩和について、必要に応じて規模を拡大するという文言が削除され、金融政策の正常化に向けて一歩踏み出した形となった。

ECBは昨年10月、ユーロ圏のデフレ懸念が払しょくされ、景気回復も進んでいることを受けて、15年3月に開始した異例の量的金融緩和について、12月末となっていた実施期限を2018年9月まで延長するものの、1月以降の購入額は月600億ユーロから半額の300億ユーロに減らすことを決めていた。

ECBは声明で、「量的緩和の期限を必要に応じて延長する用意がある」という文言や、従現行の超低金利を継続するという方針は変えなかった。しかし、量的緩和の規模拡大に関する部分は削除した。

ユーロ圏ではデフレ懸念は消え失せたものの、インフレ率はECBが目標値とする2%を割り込む状態が続いており、2月は前月を0.1ポイント下回る前年同月比1.2%に縮小した。ただ、緩やかな景気回復が進んでいる。17年10~12月期の成長率は前期比0.6%で、19四半期連続のプラス成長となった。ECBは量的緩和の支えがなくても成長が続くと見込み、夏にも緩和策終了の是非を判断すると目されている。

ECBは同日公表した最新の内部経済予測で、ユーロ圏の2018年の予想成長率を2.4%とし、前回(12月)の2.3%から0.1ポイント上方修正した。19年は1.9%、20年は1.7%で、ともに据え置いた。一方、予想インフレ率については、18年は1.4%、20年は1.7%に据え置いたが、19年は1.5%から1.4%に引き下げた。

上部へスクロール