ユニリーバが本社をオランダに一本化、英に2部門の拠点維持

英・オランダ系の食品・日用品大手ユニリーバは15日、これまで英国とオランダに置いていた本社をオランダのロッテルダムに一本化すると発表した。迅速な意思決定を可能にして経営を効率化するのが目的で、英国のEU離脱とは「関係ない」と説明しているが、離脱に伴うポンド下落などで買収ターゲットになる事態を回避する狙いもあるとみられる。株主の承認を経て、88年間続いた2本社制を年内にも解消する。

ユニリーバは決定に先立ち、英・オランダ両政府と本社統合について協議を続けてきた。発表によると、ユニリーバは組織再編の一環として事業を3部門に分割し、シャンプーや石けんなどのパーソナルケアと洗剤などのホームケア部門はロンドン、食品・リフレッシュメント(アイスクリームなど)部門はロッテルダムに本部を置く。これにより英国の従業員7,300人の雇用と生産拠点は維持される。また英国、オランダ、米国における株式の上場も継続する。

ユニリーバは昨年2月に米食品大手クラフト・ハインツから1,430億ドルの買収提案を受けた。買収は免れたものの、グループ全体の成長を支えてきた新興国での伸び鈍化や、EU離脱決定を受けたポンド下落に伴う英国内での生産コストの上昇などで業績が悪化しており、同社は事業戦略の抜本的な見直しに着手。ポール・ポールマン最高経営責任者(CEO)は4月に発表した新戦略で、不採算事業からの撤退を加速し、健康食品やスキンケアなど成長分野に経営資源を集中させるほか、英国とオランダに本社を置く経営体制についても見直しを進める方針を打ち出していた。

マライン・デッカーズ会長は記者会見で「今回の決定は英国のEU離脱となんら関係がないことをはっきりさせておきたい」と発言。「取締役会は30~50年に一度の重大な決断をした。英国とオランダは共に魅力的な投資環境を備えていると考えており、当社は今後も両市場への投資を継続する」と述べた。

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