EU、SNSなどに個人情報保護の徹底呼びかけ

EUは22日開いた首脳会議で、米フェイスブックが保有する5,000万人以上のユーザー情報の不正流出問題について協議し、ソーシャルネットワークなどに対してEU市民のプライバシーと個人情報の保護を徹底するよう求めることで一致した。「一般データ保護規則(GDPR)」の施行を目前に控え、EU市民の個人情報を扱う内外の企業に対し、EUルールに沿ったデータ管理の強化を強く求めている。

フェイスブックをめぐる問題は、17日付の米紙ニューヨーク・タイムズなどの報道で発覚した。英データ分析会社ケンブリッジ・アナリティカがフェイスブックの利用者5,000万人分の個人情報を不正に取得したというもので、2016年の米大統領選挙でトランプ陣営に有利に働くよう利用された可能性が指摘されている。

首脳会議で採択された総括文書は「ソーシャルネットワークやデジタルプラットフォームは業務を透明化し、EU市民のプライバシーと個人情報の完全な保護を保証する必要がある。EUおよびEU加盟国の法律が尊重され、執行されなければならない」と強調。トゥスク大統領はフェイスブック問題を「極めて深刻に受け止めている」と述べ、5月にブルガリアの首都ソフィアで開催予定の首脳会議で引き続き個人情報保護対策について協議する方針を示した。

フェイスブックのデータ流出問題をめぐり、欧州議会のタヤーニ議長は20日、同社のマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)に対し、議会での証言を要請したことを明らかにした。タヤーニ氏はザッカーバーグ氏が欧州市民5億人を代表する欧州議会の質問に答えないとすれば「大きな間違いだ」と指摘。「米大統領選や英国のEU離脱をめぐる国民投票で、市民を特定の方向に誘導する目的で個人データが利用された事実がないか確かめる必要がある」と述べた。

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