独当局がBMWとVWに立ち入り調査、排ガス不正問題で

独ミュンヘンの検察当局は20日、自動車大手BMWを対象に立ち入り調査を実施した。同社のディーゼル車に違法なソフトウエアが搭載されていた疑いがあるためで、証拠書類などを押収した。同日にはブラウンシュヴァイク検察当局がフォルクスワーゲン(VW)の立ち入り調査を今月上旬に行っていたことも明らかになった。排ガス不正問題は2015年9月の発覚から2年半が経過したにもかかわらず、ドイツの自動車メーカーになおも大きな影を落としている。

ミュンヘン検察は同市にあるBMWの本社と研究開発センター、および墺シュタイルにあるディーゼルエンジン工場を捜査した。

BMWは先月、SUV「X5」と「X6」向けに開発したソフトを誤って「5シリーズ」と「7シリーズ」のモデルに搭載していたことが分かったとして、1万1,400台のリコールを発表した。別のモデル向けのソフトであるため排ガス浄化機能が適切に働かないことが理由だと説明した。

ミュンヘン検察はこれについて、過失でなく意図的な不正の可能性があるとみて、捜査を開始した。

VWに対するブラウンシュヴァイク検察の捜査は、同社が15年に発表した適時開示情報を対象にしたもので、市場に虚偽情報を流した疑いが持たれている。VWは同年11月3日付の適時開示情報で、約80万台のモデルに違法ソフトが搭載されている可能性があり、損失額は約20億ユーロに達すると発表したが、12月9日になってその数を最大3万6,000台へと下方修正したうえ、問題も小さいとの見解を示した。同検察は12月9日付の開示情報に虚報の疑いがあるとみている。

VWに対しては排ガス不正の事実を15年9月の発覚以前に把握していながら公表しなかったとの疑いも持たれており、ブラウンシュヴァイク検察は適時開示義務違反の容疑で捜査中だ。株主も同義務違反の影響で損失を被ったとして損害賠償訴訟を起こしている。

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