EU加盟国は19日、ブラジル国内20カ所の加工処理施設で生産された鶏肉を中心とする食肉の輸入停止を決定した。欧州委員会の報道官は対象施設の衛生管理体制に問題があるためと説明している。ブラジル産食肉の輸出振興団体ABPAによると、今回の措置により、EUが同国から輸入する鶏肉の約30%に影響が及ぶとみられている。EU官報に掲載された2日後から同措置が適用される。
欧州委は輸入停止の対象施設を公表していないが、ロイター通信などによると、食肉加工最大手のブラジルフーズ(BRF)が保有・運営する12の施設が含まれている。一方、鶏肉生産でBRFに次ぐ業界2位のJBSは対象リストに含まれていないもようだ。
ブラジルは世界最大の鶏肉輸出国。同国では昨年3月、BRFとJBSを含む食肉加工業者が検査官に賄賂を贈り、傷んだ肉などを衛生基準を満たした食品として出荷していた不正が発覚。EUや中国などが輸入停止に踏み切った経緯がある。また、BRFはサンプル検査のデータを改ざんした疑いが持たれており、先月からブラジル当局が調査を進めている。
ブラジル政府は今回の決定について、EUが主張している衛生面の懸念は輸入規制を正当化するための口実にすぎず、保護貿易の隠れ蓑にしていると非難している。マッジ農相はブリュッセルに特使を派遣してEU側に決定の取り消しを求める一方、国内の食肉加工業者に対しては、EUに代わる輸出先を早急に開拓するよう指示する意向を示した。