欧州委員会は26日、インターネット上で展開するビジネスの基盤となるソフトウエアやアプリケーションなどを提供するプラットフォーム事業者に対する新たな規制案を発表した。グーグル、アップル、フェイスブックをはじめとするプラットフォーム事業者が順守すべきEU共通ルールを導入し、オンラインプラットフォームを利用する中小企業などが公正な条件でビジネスを展開できる環境を整える。
欧州委によると、域内で活動する中小企業の42%がオンラインプラットフォームを利用して製品やサービスを販売しているが、およそ半数の企業がプラットフォーム事業者との間で何らかの問題を抱えており、それによる損失が最大23億5,000万ユーロに上るとの試算がある。欧州委は中小企業が不利な条件での利用を余儀なくされているケースがあるとみて、プラットフォーム事業者に対する監視を強化する必要があると判断し、具体策を検討していた。
新たな規制の対象となるのは、EU域内の企業や個人にサービスを提供している従業員50人以上で、年間売上高が1,000万ユーロを超えるプラットフォーム事業者。例えばグーグルなどが自社のサービスを優遇することがないよう、検索結果ページに表示する順番を決めるアルゴリズムなどの情報を開示し、透明性を高めることが義務づけられる。また、不当な取引を余儀なくされた企業に対する救済措置として、プラットフォーム事業者は顧客から寄せられた苦情を適切に処理するための窓口や手順を整備し、対応状況を毎年公表する必要がある。
一方、インターネットを介して偽の情報を拡散させるフェイクニュースのまん延を防止するための対策強化も求められる。来年5月に欧州議会選挙を控えるEUでは、フェイクニュースが選挙に及ぼす影響への懸念が高まっており、プラットフォーム事業者に自主規制の強化を促す。各事業者は7月までにフェイクニュース対策に関する行動規範を策定しなければならず、10月までに成果がみられない場合は拘束力のある規制の導入を含む追加的な対策を検討する。また、欧州委の主導により、EU全体で情報の真偽を検証するファクトチェック組織のネットワーク構築を急ぐ。