アップルの英シャザム買収、欧州委が本格調査開始

欧州委員会は23日、米アップルが音楽認識サービスの英シャザム・エンターテインメントを買収する計画について、本格的な調査を開始したと発表した。音楽配信サービスでの競争が阻害される恐れがあるためで、9月4日までに買収を承認するかどうかを判断する。

シャザムは周囲で流れている音楽をスマートフォンのマイクで識別し、それが何の曲かを教えるアプリを運営する企業。アップルは同社が音楽配信サービス「アップル・ミュージック」に合致するとして、昨年12月に買収すると発表していた。買収額は4億ドル程度とされる。

欧州委はシャザムのユーザーがアップル・ミュージックのライバルであるスポティファイなど欧州の音楽配信サービスを利用していることから、アップルが同買収によってシャザムが持つ利用者のデータにアクセスし、競合他社から顧客を引き抜くことが可能になり、音楽配信市場での健全な競争が妨げられ、消費者の選択肢が狭まる恐れがあると判断。アップルが買収後にシャザムのアプリと競合他社がリンクできないようにした場合の影響も含めて、改めて詳細な調査を進めることを決めた。

同買収をめぐっては、規模が比較的小さく、EUによる審査が必要となる案件に当たらないため、欧州ではオーストリア、フランス、イタリア、スペイン、スウェーデン、ノルウェー、アイスランドの7カ国が独自に買収を認めるかどうかを審査することになっていた。しかし、欧州の関連市場の競争に悪影響を及ぼす恐れがあるとして、欧州委が2月から調査を開始していた。

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