ネオニコチノイド系農薬3種、屋外使用が全面禁止

EU加盟国は27日、ミツバチの大量死や大量失踪の主な原因とされるネオニコチノイド系農薬3種の屋外での使用を全面的に禁止することで合意した。EUでは2013年からミツバチを誘引する植物へのネオニコチノイド系農薬の使用が厳しく制限されているが、規制対象になっている農薬のリスクに関する新たな研究報告を踏まえ、温室での散布を除いて全面禁止に踏み切る。

ネオニコチノイド系の農薬は害虫駆除の効果が高く、世界各地で広く使用されているが、近年はミツバチが突然大量に失踪する「蜂群崩壊症候群」との関連性が指摘されている。EUでは欧州食品安全機関(FESA)が12年、ネオニコチノイドはミツバチの中枢神経系に作用して麻痺や死をもたらすとの分析結果をまとめたのを受け、ネオニコチノイド系農薬のうちクロチアニジン、イミダクロプリドおよびチアメトキサムの3種について、13年7月からミツバチを誘引するトウモロコシ、ナタネ、ヒマワリ、ワタなどへの使用を原則禁止している。

しかし、ネオニコチノイドがミツバチ以外の花粉媒介生物(鳥や昆虫など)に及ぼす影響を懸念する研究者や環境団体などは、EUに対して一段の規制強化を要求。欧州委はこれを受け、規制対象となっている3種の農薬について、すべての作物への使用を禁止する案を加盟国に提示していた。

養蜂家や環境団体は今回の決定を歓迎する一方、農薬メーカーや農業団体からは「農薬の影響を裏付ける科学的研究が不十分」、「欧州の農業にとって大きな痛手」といった批判の声が上がっている。

なお、クロチアニジンとイミダクロプリドを製造・販売する独バイエルクロップサイエンスと、チアメトキサムを展開するスイスのシンジェンタは、欧州委が13年に下した決定を不服としてEU司法裁判所に提訴しており、今月17日に判決が下される見通しだ。

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