総合医療大手の独フレゼニウスは22日、米後発医薬品大手エイコーンの買収を中止したと発表した。米食品医薬品局(FDA)が行ったエイコーン製品の認可手続きで、データの完全性に関する規定への重大な違反がエイコーン側にあったことが確認されたため。フレゼニウスはこの問題でエイコーンに対し、独自の調査を行い、情報を提示するよう要求していたが、拒否されたことから買収合意を破棄した。
フレゼニウスの後発医薬品子会社フレゼニウス・カービは昨年4月、米国の小規模病院・薬局向け事業に強いエイコーンを株式公開買い付け(TOB)を通して買収することを発表した。買収総額は債務の引き受けも含めて47億5,000万ドル。当初の計画では今年1月1日付で買収手続きを完了することになっていた。
フレゼニウスは2月、新製品の認可手続きでエイコーンが不正を行っていた容疑が浮上したことを発表。第三者による調査で不正の事実が確認された場合は買収を取り止める可能性もあるとしていた。
フレゼニウスは21日、人工透析子会社フレゼニウス・メディカル・ケア(FMC)が勤務医のネットワークである米サウンド・インパティエンツ・フィジシャンズの過半数株を、投資会社サミット・パートナーズを中心とする企業連合に売却することも明らかにした。取引金額は21億5,000万ドル(17億5,000万ユーロ)。税引き前ベースで約8億ユーロの売却益を見込む。
サウンド・インパティエンツ・フィジシャンズは計100以上の病院の医師1,000人強を抱える。FMCは2014年、同社の過半数資本を約6億ドルで取得していた。FMCは今回の取引について、患者向けの全医療サービスを効率的にコーディネートするノウハウを獲得するとした当初の目的を達成したため、サウンド・インパティエンツ・フィジシャンズを放出すると説明した。