EU統計局ユーロスタットが2日発表したユーロ圏の2018年1~3月期の域内総生産(GDP、速報値)は前期比0.4%増となり、20四半期連続のプラス成長を記録した。ただ、伸び率は前期の0.7%から大きく縮小し、16年7~9月期以来の低水準となった。
前年同期比の伸び率は2.5%。前期の2.8%を下回った。EU28カ国ベースでは前期比0.4%増、前年同期比2.4%増で、それぞれ伸び率は前期の0.6%、2.7%から縮小した。
ユーロスタットは成長鈍化について説明していないが、アナリストらは同期に欧州が寒波に見舞われたことや、ストライキの頻発、ドイツのインフルエンザ流行といった一時的要因が響いたのは確実との見方で一致している。しかし、このところユーロ高が進んでいるほか、米国の輸入制限などにより、減速が一時的でなく長期化すると懸念する向きもある。
ユーロスタットは15日に国別のGDPを発表する予定。これまでに主要国の当局が発表した統計によると、フランスとイタリアは前期比0.3%増、英国は同0.1%増となっている。
一方、欧州委員会は3日発表した春季の経済予測で、ユーロ圏の2018年のGDP実質伸び率を2.3%とし、前回予測(2月)から据え置いた。成長率は17年の2.4%を下回るものの、堅調を維持すると予想している。(表参照)
19年の予想成長率も2%と、前回から据え置いた。EU28カ国の予想成長率も18年が2.3%、19年が2%で、前回と同水準だった。
ただ、欧州委は景気の先行きについて、米トランプ政権が鉄鋼輸入制限に踏み切るなど、世界的な保護主義の広がりで下振れリスクが高まっていると警戒感を示した。
EU主要国の18年の予想成長率は、ドイツが2.3%、フランスが2%、イタリアが1.5%、スペインが2.9%。英国に関しては、EUとの貿易関係が離脱後も変わらないことを想定しても1.5%と、17年の1.8%から大きく縮小すると予想した。