米が鉄鋼輸入制限の適用除外を1カ月延長、欧州委は恒久除外を要求

トランプ米大統領は4月30日、3月下旬に発動した鉄鋼とアルミニウムの輸入制限をめぐり、EUなどへの暫定的な適用除外を5月末まで1カ月延長すると発表した。関税発動の猶予期間を延ばした上で交渉を続け、貿易赤字の削減に向けて相手側から譲歩を引き出す狙いがある。これに対して欧州委員会は1日、EUへの適用を恒久的に除外するよう求める声明を発表した。

トランプ政権は輸入品の増加で国内の鉄鋼・アルミ産業が弱体化すれば米国の安全保障が脅かされると主張し、鉄鋼とアルミニウムにそれぞれ25%、10%の関税を発動した。EUを含む7カ国・地域については適用を猶予し、4月末までの個別交渉で適用除外を恒久的な措置とするか、5月1日付で関税の適用を開始するか決定する方針だった。

適用除外の延長は、EUとカナダ、メキシコが対象。一方、オーストラリア、ブラジル、アルゼンチンとは大筋合意に達したため、適用除外を恒久化する方針。また、韓国とは鉄鋼製品の米国向け輸出を7割削減する見返りとして、鉄鋼については関税を発動しないことで合意している。

欧州委は声明で「米国の決定は、すでに企業の経営判断に影響を及ぼしている市場の不確実性を長引かせる」とトランプ政権の対応を批判。「EUは全面的かつ恒久的に(高関税の適用を)除外されるべきだ」と主張している。

EUは鉄鋼とアルミニウムの輸入制限が発動された場合、総額64億ユーロ規模の報復関税で米国に対抗する方針。3月に公表した報復関税の対象リスト案にはオートバイ、バーボンウイスキー、オレージジュース、コメ、トウモロコシ、衣料品など約350品目が掲載されている。

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