英スーパー大手セインズベリー、アズダと統合で合意

英スーパーマーケット2位のセインズベリーは4月30日、米小売り大手ウォルマート傘下の同3位アズダと経営統合することで合意したと発表した。誕生する新会社は英スーパー市場でテスコを抜き、最大手に浮上する。

統合は実質的にセインズベリーがアズダを買収する形で実施される。ウォルマートは現金29億8,000万ポンド(約4,483億円)と、43億ポンドに相当するセインズベリーの株式を受け取る。統合で誕生する新会社の株式の持ち株比率はセインズベリーが58%、ウォルマートが42%。アズダは73億ポンドと評価された格好となる。

セインズベリーはイングランド南部、アズダは同北部を中心に事業を展開している。新会社は約2,800店を運営し、売上高が510億ポンドに上る。市場調査会社カンター・ワールドパネルによると、国内スーパー市場のシェアは31.4%に達し、テスコを超えて首位に立つ。

英スーパー業界は長年にわたってテスコ、セインズベリー、アズダ、モリソンズの4強が支配する状態が続いていた。しかし、このところドイツ系ディスカウントストアのアルディとリドルによる攻勢で競争が激化。米アマゾン・ドット・コムが生鮮食品配送を開始したことも既存スーパーの脅威となっている。セインズベリーとアズダは統合により、競争力を強化し、生き残りを図る。

セインズベリーによると、アズダとの統合により、コスト削減など5億ポンドの相乗効果がもたらされる見通し。多くの主力商品で10%程度の値下げも実現できると見込んでいる。

ただ、両社の統合は英競争当局の承認が必要。巨大スーパー事業者の誕生に競争上の問題があることから、承認の条件として一部の店舗の売却などを迫られる可能性がある。