EUは11日、米国がイラン核合意からの離脱を表明したことを受け、15日にブリュッセルで英国、フランス、ドイツ、イランとの外相会合を開くと発表した。米国の離脱後も合意の枠組みを堅持するための具体策を協議する。16~17日にはブリガリアで非公式のEU首脳会議を開き、米国がイランへの経済制裁を再開した場合の対応策も話し合う。
トランプ米大統領は8日、2015年に主要6カ国(米英仏独中露)とイランが結んだ核合意から離脱し、イランに対する経済制裁を再発動すると発表した。EUと英仏独などは米国に残留を働きかけたが、トランプ氏を説得することはできず、パリ協定に続いて欧州側の外交努力は報われなかった。
EU側は国際的にイランを孤立させない方針を確認し、ロシアや中国と連携して核合意を堅持することを目指している。今後の協議で焦点となるのは、米国による制裁再開への対応だ。米政府はイランで活動する欧州企業に対し、6カ月以内に投資を引き上げなければ制裁対象になる可能性があると警告している。欧州はフランスやドイツを中心に、伝統的にイランとの経済的な結びつきが強く、制裁が発動された場合、米国より欧州に深刻な影響が及ぶとみられている。
メイ英首相は11日、トランプ氏と電話会談し、改めて「核合意の堅持がイランの核開発を防ぐ最善の方法」との考えを伝えると共に、対イラン制裁によって欧州企業に影響が及ぶ事態への懸念を表明した。一方、マクロン仏大統領は制裁発動までの猶予期間に、イランによるミサイル開発の規制を柱とする新たな合意について協議することを提案している。ただ、イランから強引に譲歩を引き出そうとすれば逆に反発を招いて核合意を維持できなくなる恐れもあり、先行きは不透明だ。