米アップルは10日、アイルランドにデータセンターを建設する計画を中止すると発表した。8億5,0000万ユーロ規模の同プロジェクトをめぐっては、環境への影響を懸念する活動家らの抗議で訴訟に発展し、承認プロセスに深刻な遅れが生じていた。
アップルは2015年2月、アイルランド西部のアセンリーに敷地面積16万6,000平方メートルのデータセンターを建設する計画を発表した。サッカーグラウンド40面に相当する同施設では、再生可能エネルギーを利用する方針も打ち出していた。
しかし、自然保護活動家3人が建設計画の差し止めを求めて訴訟を提起。アイルランド高等法院は昨年10月、原告側の訴えを退けたが、今月に入り最高裁判所が上告を受理したことで、承認手続きのさらなる遅れが確実になっていた。
アップルは声明で「計画の中止は残念だが、今回の決定によって当社がアイルランドで計画している他のプロジェクトへの熱意がそがれることはない」と強調。コーク州にある欧州本社の拡張計画などには変更はないと説明している。
一方、アイルランドのハンフリーズ企業・技術革新相は「アップルの決定は非常に残念だ。政府はアップルの投資計画を実現するためできる限りのことをしたが、今回の出来事を教訓に承認プロセスを効率化する必要がある」と述べた。