ロシア石油最大手の国営ロスネフチは19日、ベトナム南部の沖合にあるランドン油田で天然ガスの生産を開始したと発表した。同油田の原始埋蔵量(生産開始前の総量)は230億立法メートル。ロスネフチはランドン油田を含む鉱区のオペレーター権益35%超に加え、陸上と結ぶパイプラインの権益33%を握る。同プロジェクトは生産分与協定(PSA)に基づき実施されている。
採掘した天然ガスとコンデンセートはパイプラインを通して陸上に輸送され、精製の後ガス火力発電所で利用される。生産を開始した鉱区はベトナム沖370キロメートルにあるナムコンソン堆積盆の水深160メートルの海底に位置しており、ランドンの他、ランタイ及びフォンランダイの3つのガス田がある。原始埋蔵量は計690億立法メートル。ロスネフチはまた、100%の権益を持つ隣接する鉱区の探査を実施しており、現在までの確認埋蔵量はガス280億立法メートル、コンデンセートが1,750万トンとなっている。
今回の生産開始は、英BPとの合弁会社で2013年にロスネフチが550億ドルで買収したTNK-BPの事業を継承したもの。欧米企業はロシアによる2014年のクリミア併合後、米国の経済制裁によりロシア領の北極海や深海での開発事業に参加できなくなっている。米エクソンモービルは昨年、ロスネフチとの共同事業から撤退した。