伊でEU懐疑派の連立政権発足、コンテ氏が首相に就任

イタリアで1日、首相に指名された大学教授のジュセッペ・コンテ氏が就任宣誓を行い、同氏を擁立したポピュリズム(大衆迎合主義)政党「五つ星運動」と右派政党「同盟」によるEU懐疑派の連立政権が発足した。新内閣は10日以内に議会の信任を得る必要がある。議会では両党が過半数を占めており、信任が確実視されている。3月4日の総選挙から3カ月続いた政治空白はようやく解消されるが、政情不安が解消されるかは不透明だ。

新首相のコンテ氏はフィレンツェ大学の教授で民法が専門。総選挙で第1党となった五つ星と、5月に入り同党と連立合意した同盟がコンテ氏を首相候補に擁立した。マッタレッラ大統領は同氏に組閣を命じたが、大統領はEU懐疑派のサボナ元産業相を経済・財務相とする人事を拒否。これを受けてコンテ氏は27日、組閣を断念し、首相指名を辞退した。大統領は28日、国際通貨基金(IMF)で要職を務めたカルロ・コッタレッリ氏を首相候補に指名し、組閣を命じた。しかし、土壇場で五つ星と同盟が連立政権の樹立を目指すことで再び合意したことから、大統領はコンテ氏を再び首相に指名し、ようやく組閣にこぎつけた。

市場では政治空白の長期化を受けてこの間に国債や株式が大きく売られた。新政権は財政拡大による景気刺激や移民・難民への規制強化を掲げており、EUとの関係悪化が懸念される。連立政権はEUの財政規律策に反対しており、政局の混乱が続いた場合は欧州全体の景気や金融システムに影響が及ぶ可能性もある。

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