知財侵害で中国をWTO提訴、進出企業に技術移転を強要

欧州委員会は1日、中国が欧州企業の知的所有権を侵害しているとして、世界貿易機関(WTO)に提訴したと発表した。中国に進出した欧州企業が中国側に技術移転を強要されており、こうした投資慣行はWTOルールに違反すると主張している。欧州委は直ちに中国側との協議に入り、60日以内に解決できない場合はWTOに紛争処理小委員会(パネル)の設置を求める。

欧州委員会のマルムストローム委員(通商政策担当)は声明で「技術的イノベーションやノウハウは知識を基盤とするEU経済の土台であり、欧州企業が国際市場で競争力を維持し、雇用を守るうえで不可欠なものだ。いかなる国も欧州企業に高度な技術やノウハウに係る権利の放棄を強制することは許されない」と強調。中国に進出した外国企業に技術移転を強要し、自国企業との契約で不利な条件を強いる同国の投資ルールは、WTOの「知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS協定)」に違反すると指摘した。

中国の投資慣行をめぐっては、米国も今年3月に知的財産権の侵害でWTOに提訴。さらに米通商法301条に基づく制裁措置として、米国への輸出品に25%の追加関税を課す方針を表明している。

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