フランスの金融監督機関である金融安定化高等評議会(HCFS)は11日、国内の銀行に将来のリスクに備えて資本増強を求めることを決めたと発表した。民間企業への貸付けが急増していることを受けたもので、各行はリスク性資産の0.25%に相当するカウンターシクリカル(反景気循環的)資本バッファーの積み増しを迫られる。
反景気循環的資本バッファーは、将来の景気悪化に備えて自己資本を積み増すもの。フランスでのルール化は初となる。ルメール財務相が議長を務めるHCFSは、仏国立銀行(中央銀行に相当)の勧告に沿って、今回の措置を決めた。各銀行は7月1日から1年以内に順守することを求められる。
フランスでは銀行の民間向け融資が増えている。これに伴い、民間債務の対国内総生産(GDP)比率は昨年10~12月期に過去最高となる130%超に達した。このためHCFSは5月、多額の債務を抱える企業に対する大手銀行の融資を制限する措置を7月から実施すると発表していたが、将来のリスクに備えた追加措置が必要と判断した。