加盟国が動物用医薬品の規則案で合意、薬剤耐性対策が柱

EU加盟国は13日開いた大使級会合で、動物用医薬品に関する新たな規則案の内容で合意した。抗菌薬が効かない薬剤耐性(AMR)の問題に対処して、ヒトと動物の健康リスクの低減を図るのが狙い。欧州議会と閣僚理事会の承認を得て新ルールを導入する。

もともと抗菌薬で対処できた病原菌が変化し、薬が効かない「薬剤耐性菌」が世界中にまん延し、大きな問題になっている。全世界で年間70万人が薬剤耐性菌で死亡しているとされるが、このまま有効策を講じることができなければ、死者数は2050年までに1,000万人に膨らむとの試算もある。

抗菌薬は畜産業や水産業などでも広く用いられているが、動物に抗菌薬を使うと皮膚や消化管にいる細菌が薬剤耐性菌に変化し、動物と接触したヒトが感染したり、食肉を通じて消費者に広がる恐れがある。

規則案によると、治療目的ではなく、病気にかかっていない動物への抗生物質の使用が厳しく制限される。また、域外の畜産農家がEU向けに家畜を出荷する際、発育促進を目的として抗生物質を使用することは禁止される。EU内では発育促進を目的とする抗生物質の使用はすでに禁止されている。

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